産経新聞朝刊に7年以上にわたって連載中の荒木経惟さんの写真紀行「アラーキーがゆく」(日曜付けオピニオン面)担当の産経新聞社編集局 重松明子です。6月26日、アラーキーこと荒木経惟さんが「ネオテニー・ジャパン」にご来場くださいました!
「今回作品が展示されているほとんどの作家が、荒木さんの写真から何らかの影響を受けていると言っていい」(本展を企画したアートコーディネーターの内田真由美さん)という、日本現代アート界の兄貴的存在である荒木さん。
会場に入れば「スゴイ」を連発し、「今年一番のエキシビション。上半期決まったね。いやー本当に素晴らしい」と大絶賛。今年69歳の荒木さんは子供がそのまま大人になったように天真爛漫で明るいお人柄で、ひとつひとつの作品に歓声をあげつつ、身振り手振りもにぎやかに鑑賞。居合わせた来場者も一緒に笑ったりうなずいたり…。
アラーキー語録とともに、鑑賞時の模様をお伝えします。

【名和晃平】
「なんでもビー玉かぶせて、泡沫のなかにいるみたいに曖昧に見せて、面白いよねー。大富豪のパトロン見つけてダイヤモンドで作ってもらいたいなぁ。」
【奈良美智】
「奈良美智、スキなんだよ~。この女の子。こんな大きな絵だったんだねー。吸い込まれるなぁ、、、女の子の顔ん中に入ちゃお~」

「Candy Blue Night」
2001 Courtesy Tomio Koyama Gallery
【村上隆】
「おーいだれか、下から針指して空気抜け~(笑)。
ウソウソ。でもなーんかイタズラ、ちょっかい出したくなっちゃう気を起こさせるね」
【会田誠】
「ニューヨーク、ロックフェラーセンター行きましたよ。
オレが子供んときの東京大空襲で見たB29もこーゆーのだったな。日本がアメリカに復讐してんのか? いや、予言図だね。世界同時多発テロの何年も前に書いてんだろ。スゴイよね」。そして、作品の裏側をのぞき込んで、「こーゆーとこまで見せなくちゃ~」とスタッフに注文をつけた。壮大な屏風絵図の裏は生活感漂う古いふすまであった。
「当時会田さんが住んでいたアパートのふすまに、直接描かれた作品です。新聞を貼った上に描かれているんですよ」と、内田真由美さんが解説する。表の絵をよく見ると昔の新聞記事が透けて見えていた。
「少女とサンショウウオの3P。禁断の組み合わせだね。いいなぁ、エッチだなー。毛を描き足したいけど、届かないね(笑)」
【小沢剛】
「しょうゆで尾形光琳! 発想がすごいな。においはどうかな」と作品に鼻をクンクン。
【天明屋尚】
「千手観音にピストルだぜ。危険な曼荼羅、スゴイねー。素晴らしいセンスと技術。偶然だけどこの作家の写真を撮ったことあるよ。たばこ吸う姿がカッコイイやつだったよ」
【池田学】
「おー!これも緻密でスゴイ絵だね。へぇーっ!?一年半もかけて。こんくらいだけ描く技術と根気あれば、他にも色んなことできるだろ。オレ、なんか、反省してきちゃったよ。写真なんて2秒だからな」
【照屋勇賢】
「おっ!紙袋の中に芸術があるね。材料が紙袋だけなんてスゴイなぁ。シャネル…意外とコストかかってるね。ゴディバの袋…チョコ食べながら作ったのかな?」

【村山留里子】
「ベルバラ以上の豪華さだね。デコレーション一個一個はバラバラでゴチャゴチャになりそうなのに、全体で見ると調和がとれてる。すごいバランス。肌の黒い女に着て欲しい。すごく栄えそうだよな」

【できやよい】
「このマネキンの模様、びっしり拇印が押されて、ひとつひとつに顔が描かれている。一見かわいいようで、狂気だね。女が生まれながらにして持ってる狂気がにじみ出てるよ。男が女にかなうはずないんだよ」と思わずマネキンと腕を組んでしまった(決してマネしないでください)。

【小谷元彦】
「こんなパーティードレス着たらその夜の女王様、決まりだね」

「Human Lesson(Dress 01)」
1996 Courtesy YAMAMOTO GENDAI
【加藤泉】
「アフリカの宇宙人てか、胎児ってか、日本のコケシ文化も入ってるね。スゴイね。てんでいいな、サイコーだね!スキ~!」と、たまらず人形に抱きついてしまった(決してマネしないでください)。
全作品を見終わった荒木さんに改めて感想をうかがってみました。
「すごいなぁみんな。これはすごい才能の塊だよ。脳に汗かいちゃった。
職人的な粘りと技。それと幼稚園児みたいな無我夢中の狂気が共存してる。狂気っても親しみやすい狂気なんだよ。原始的で未来的なエロス。日本人らしいんだけれど〝宇宙からの留学生〟って気もしたね。島国育ちだけどスケールが大きい、大陸的なんだ。それから、政治とか余計な何かを考えさせないのも良かったな。日本は本当にスゴイ芸術家がいっぱい育ってるね。
そしてこんだけの作品を一人で選んで買って集めた人がまたスゴイ。精神科医のチョイス、冴えてるなー。目利きってより、彼もある種の天才だね。
『ネオテニー』=幼形成熟って、ウーパールーパーみたいに幼い格好のまま性的に大人になっちゃった生き物なんだって。いるじゃんココにも(と自分に指をさす)。まぁ、オレは幼形半熟だけどね。アハハハハ。
『ネオテニー』って言葉はきっと、ピカソなんかの『キュビズム』みたいに芸術用語として歴史に残るぞ。これが出発点だったって、この展覧会が振り返られるときがくると思うな」
荒木さんは最後にオリジナルグッズコーナーに立ち寄り、「これも面白いなー」と愛弟子の写真家・野村佐紀子さんにマグカップのおみやげを購入されるなど、やさしい師匠の一面ものぞかせつつ会場を後に。

上野公園で声をかけてくるアラーキーファンには「今、ネオテニー見てきたんだよ。阿修羅展よりいいよ」などとさっそく口コミ開始。ありがたいことです。
その後は新宿・歌舞伎町のいきつけのバーに移動し、バーボングラス片手に「いやー、今日はよかったね!オレも刺激受けちゃった」と終始ゴキゲンな荒木さんでした。(完)
by neoteny-japan
作家の作品解説が聞ける「音声…